panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

声優、外国文化の媒介者たち


  今回は野沢那智から始めた。基本中の基本である。たまに昔の代表的な声優たちをネットで調べるのである。
  これは趣味だが実益はない。趣味と実益を兼ね備えてはいないのである。でも昔の自分を知るにはこれが実は一番なのではないかと思う。ポキは身近なまわりから学ぶのではなく、主にテレビを通じて遠隔的に自分を形成した人間の一人なのである。
  テレビがはじめて家庭に届いた日を覚える最後の世代の一員として、外国映画やドラマの吹き替えくらい、外国を感じさせるものはなかった。日本語で話しているわけだが。声優の地位がいまではあがり、アニメーションも市民権を得た以上になったことはうれしい。とはいえ、漫画は高校入学以来、ほとんど読まないということはないが、買ったことはない。何誌も買っていた中学時代はジョーと星一徹が同居していた少年マガジンが何といってもアイドル誌だったが。
  次々とネットで声優をたどっていくと、あまり興味のなかった有名な富山敬タイガーマスクの主人公の声だったらしいが、最後は、ちびまる子ちゃんの友蔵(じいさん)の声だった。気づかなかったが、1960年代前半から半ばにかけての外国ドラマのラッシュは、いまでは、東欧とか東南アジアで日本製のアニメが席巻しているのと同じ現象だったろう。そして意外と売れない役者のなかには(声優となった人以外にも)北海道出身がいることに気づいた。青野武もそうだ(ただし声優のほうが有名)。
  という戦後を理解するためにも、たまになつかしい声優たちをサーフィンするのである。たまに。外国文化のメッキが剝がれた今となっては、そういう自己形成を行っていた自分が悔しい感じもするのだが。