panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

グローバリズム、自由貿易、ヒトモノカネの自由な移動はおかしい


  朝から危機感満載な報道で、これはどうかしている。なぜトランプが勝ったことが逆転なのか。不安を惹起するのか。最初から実は一貫してトランプは支持されていた。不安も杞憂である。
  イギリスがEU離脱したのも移民とネオリベラリズムへの拒否だった。トランプの勝利はそのアメリカ版にすぎない。ではあるが、これは要するに、グローバル化ネオリベを主導したアングロサクソン国家二国がまず最初にそこから離脱したということを意味し、本家本元がネオリベを放棄したということである。
  どうも30年にわたりアホで小市民的な経済学者たちが言い続けたせいで、固定観念になってしまったようだが、なぜ規制緩和や経済開放といったものが正しいと思っているのだろうか。マスコミも国民も。日本だけではないようだが。
  燃費が5キロいいトヨタの車を買うことがGMの車を買わない選択につながるということがどうしてそんなにいいことなのか。その結果、アメリカの産業は弱体化し、雇用は失われる。ならリッター5キロ分ガソリン代を払っても製造業を死守するという「国民的」選択こそが、ある種の保護主義が、ここでは必要なのだ。つまりある時期には、またある国には、保護主義が必要なこともあるのだ。そういう選択肢をたたれると、たとえばEU諸国のように、結局、特定の国によって、つまりドイツだが、他の諸国の産業的基盤がずたずたにされてしまうようなことになる。ヨーロッパ共同体はドイツ第4帝国へ変貌することになる。
  先端的な事業と大金融資本だけが利益をあげて、一部に富が偏ってしまっているのはこのネオリベによるグローバル戦略による。そしてそれで一見英米が潤っていたようにみえるが、そこでは、つまり英米内部では、実は、社会的格差と分断が決定的になり、中産階級が没落してしまった。これが最大の問題でなくて何が問題なのか。
  中産階級は平等を目に見える形で象徴する最大のシグナルだが、それが没落してしまえば社会の民主的意志も崩壊する。同時に、中産階級的な政治が弱体化するわけだから、トランプのような人間に投票することも増える。
  だからトランプの勝利はある意味、そうしたネオリベ循環が正常に招いた結果なのだ。それがきちんと機能したことがむしろ今回のアメリカという国の見事なところだったと考えたい。
  いずれにしてもヒトが移動してくるのがそんなにいいことなのか。従来は、アメリカの土台を支える中低層白人の犠牲の上に「かっこいい」人道的な政策を行ってきたわけであるから、そういう人々が正当に自らの利益を主張する理性をもっていたことを慶賀したい。
  正直なところ、もし日本にくるヒトというのがあるとすれば、それは中国人か朝鮮人である。それを本気でそんなヒトたちの来邦を人々は期待して、結構なことだと思っているのだろうか。それではアジアの人間がどういうものかをあまりに知らない知的怠惰である。