panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

ヒトはいつ死ぬのか


  もう一度申年を迎えられるかどうか確証はないが、ま、だめならだめで仕方ないわけで、そういう意味では達観しているが、癌で痛いのは避けたい。正月、うっとくる吐き気ですら死んだ気になったし。
  で偉人列伝であるが、アダム・スミスは67歳の年になくなっている。私大の教員なら在職中の死亡で学部葬とか偲ぶ会が貧弱に催されることになるような年だ。退職一年目の学者というなら69歳の年でなくなったE・P・トムソンがいる。有名なマルクス主義歴史家。同じマルクス主義歴史家だとホブズボウムはまだ生きていれば今年99歳。
  モンテスキューは66の年になくなった。モンテスキューこそ、世界の果てまでいってQの元祖である。なわけないか。人口論マルサスは68の年になくなった。天才ヒューム先生は65の年。意外と早いのかと思いきや、ローマ帝国衰亡史のギボンは57の年に死んでいる。56歳で死んだウェーバー先生とどっこいどっこいだが、よくあんな長いものを書いたもんだ。ウェーバーの盟友トレルチも58の年かあ。どうしても当時は長生きできなかったんだなあ。
  ホイッグの代表的人物マコーレーは60歳までは生きていない。そういえばスイスの歴史家ブルクハルトはああみえて80までは生きられなかった。トクヴィル先生は54の年に亡くなり、マルクスは65の年だ。在職中ね。トクヴィルなんかいまなら大々的に追悼されたろう。若くして亡くなった大家として。そういえば大学者デュルケームは59歳の年なのだ。子供が第一次大戦で亡くなって気力を失ったとされている。シュンペーターだって67の年であることを思うと、我輩はもうとっくに死んでいるのかもしれない。
  我輩愛好の人類学者マリノフスキーは58の年だった。銃殺された歴史家マルク・ブロックが死んだのも58の年。清教徒革命のクロムウェルだって59の年に亡くなった。天才ヴィトゲンシュタインは53の年。
  はやり生き過ぎているという恐れがある。自戒しよう。自戒してもどうしようもないけど、すでに長生きなんだと思いたい。ま、北斗の剣式にもう死んでいるのかもしれないが。