panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

世界は危険に満ちている


  昨日、高野先生のソマリランドの本を圧倒的な勢いで読み、寝床についてからは2012年の開高健賞受賞作のこれをまた一気に読んだ。2時半をすぎて寝入った。この一年前の受賞作は『日本を捨てる男たち』?だったはず。フィリピンに逃亡する中高年日本人男子の話であったが、これは前に、ちょっち疑問を呈しておいた。あまりにテイタラクな人々が題材であって、、、。
  国際霊柩送還士という海外で亡くなった日本人の遺体を遺族に引き渡す前にいろいろ遺体に作業を施す人々のというか、一社が独占的にやっているようだが、そのノンフィクション。勿論日本で亡くなった外国人の海外への搬送にもかかわる。
  これを読んでいる人は知らないかもしれないが、つまり我輩は知っていたが、日本人は毎年海外で400−600人程度は亡くなるのである。AIUの海外保険が高いのはそのためだともいえる。そうしたご遺体の搬送は莫大な費用がかかるのである。それを我々が公平に負担するというシステムになっている。
  いずにしても海外で亡くなることに対してあくまで遺体を引き取りたいという執念は、意外なことに、どの国の人も同じのようである。日本人だけが遺体の回収にこだわるわけではない。これがまずもって驚きであった。どの国の人も肉親の遺体に対して深い執念をもつということが。・・・人の死は軽々に扱ってはならない。肉親の死もまた自分の人生の一部なのであるね。
  急に職場で書いているので、詳細は触れられない。興味があれば、第二章?からどうぞ。第1章はどうしてもグロテスクで読み終えられなかった。あとから戻って少し読み飛ばしたが、この仕事は相当な人間への愛情がなければやっていけない。そして事実、担当者たちは家庭を壊してまで仕事にのめり込んでいるのである。
  震災記念の深夜にこれはふさわしい読書であったろうか。  

  鬼才というべきパリ在住・ロシアからの亡命者アファナシエフのバッハ平均律第1巻2枚目を聴きながら。このテンポが今はふさわしいように思う。もう相当な年齢だが、テレビでみる彼の独身のアパルトマンは素敵だった。独身だからか、それともゲイだからか。・・・ゲイかどうかはしかし知らないのであるが。