panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

新しい生活様式の時代――自粛から萎縮へ

f:id:panacho:20200526181924j:plain

  今日はようやく忘れかけていて急に思い出してまたクレームの手続きをするのか、面倒だなと思っていたヴィヴァルディのCDが届いた。ナイーブ・レーベル。バイオリン協奏曲の第7集。同じようなジャケットのなかでも今回のは秀逸だと思う。珍しく美人が使われているので。

  さてどうも、どこも面倒を嫌う保守的な非営利組織は、ひたすら見えない敵に向かって警戒を続けるようなのである。結局、お上のいう新しい生活様式というものの実践に入らなくてはならない。これは、これまで数か月の生活を律した国家的な自粛の勧めを、自主性の下に改めて置くというもののようで、自発的自粛、またの名を、我輩がそういう境遇に陥ったところの単調かつ萎縮的な生活へとさらに一層深化させる生き方のようである。

  そもそも現実から逃れ、想像上の生活にいたっても、それがリズム感も情感もない映画やドラマによって台無しにされるこの国で、いたってつまらないこの実生活をさらにつまらないものにするような形で日々を送れ、という国民的信号を受け取って、ほとんど自暴自棄な気持ちになりながら、Amazonプライムビデオで我輩のもっとも愛する『ミステリーinパラダイス』(カリブ海が舞台)でいつもまでも大英帝国の足元にも及ばない自国のすべての作劇を呪いつつ、我輩は夕食の途に就くのであった。食べるのも飽きた感じがするのはなぜ?