panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

麻薬撲滅のための国家的殺人

(同じホテルに同宿した人々。もしかしてこのなかにも密売人が?)
  フィリピンの大統領が盛大に麻薬関係者を殺害しており、便乗した殺人も相当にやられていて、日々生きていくことに危険があるかと思う。普段のちょっとした食い違いが場合によっては恨みをかうと、殺されてしまいかねない。殺害後は段ボールに麻薬関係者と書いて、置いておけばいいのだから、毎日がホッブズ的世界なのだろうか。
  戦後の日本はしばらくミャンマーよりGDPが低かった。のみならずアメリカが期待していた東南アジアの民主的先進国はフィリピンだった。思えば隔世の感がある。どうあがいても東南アジア諸国は後進的世界であることは戦後70年たっても同じだから。どういうことだろうか。
  みなさんお忘れかもしれないが、このフィリピンの大量殺害はフィリピンだけの例外ではない。客家的中国人であったタイの首相タクシンは大臣を中国系で固めて、麻薬撲滅にのりだしたことがある。2003年2月。3カ月で2000人以上が殺害された。ただタイ国家は国連の非難を懸念して、警察や軍による殺害はわずかで、大半は仲間うちの抗争で亡くなったと発表した。そこが確信犯としてのドゥテルテ大統領とは違う。
  しかしいずれにしても麻薬の問題は後進・熱帯・インドレント(呑気)な東南アジアでは非常に大きな問題なのである。だから一旦どこかでそれを大々的に駆除する必要がある。その駆除の仕方が先進国の期待した形でないとしても、それはある意味仕方ないと思う。ただ我々は当該諸国へ立ち入って流れ弾にあたったりしないように十分気をつけることが必要だというだけである。
  イギリス貴族三代目の女性が麻薬がらみでフィリピンで殺害されたと報道されたので、みてみると、オヤジ(つまり二代目貴族)が麻薬ビジネスに手を染めていて、娘も同じだったのだろうと思われる。ヨーロッパの人間が東南アジアの麻薬問題の一翼をになっているのである。のみならず、最大の麻薬製造国は中国である。
  だから麻薬撲滅はやり方はいずれにせよ、必要な課題なのである。もし秀吉の刀狩がCNNで報道されたら、やはりひどい云われ方をしたのではなかろうか。秀吉たちが国内的武力放棄を強行したのが16世紀であったことを感謝したい。