panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

滝田裕介氏逝去-----細うで繁盛記のころ


  漏れる空気圧について書きたいのだが、夜9時半に風呂に一人入っていると(いや自宅に一人の意味であって、、、)、TBSラジオ冨士眞奈美が出てきて、一代記みたいなのを対話形式で語りはじめた。
  ちょうどちょっと前に滝田裕介氏が亡くなった。この二人に赤木春恵をたすと、いうまでもなくテレビドラマ草創期の傑作、花登筺(はなとこばこ)原作の細うで繁盛記の主要キャストである。
  間違っているかもしれないが、小学校3年生のころから始まったドラマという記憶があり、とにかく赤木春恵と小姑冨士眞奈美の嫁いじめが、当時、嫁いじめの北海道チャンピオンをほしいままにしていた義理の母をかかえていたわが母(実母。ただし養母はいない)とともに食い入るように見ていたのである。小三でもそういうのに敏感に反応する我輩であったし、そういう時代だった。というか、最近の若人が幼なすぎるのである。
  いじめられるのが新珠三千代であるからして、わが実母とくらべるのはちょっちはばかられるのであったが、そこは子供である。なんだか印象深いドラマだった。
  で、ある回のタイトルが、「ふぎゃあにあ男、省吾の死」だった。省吾(漢字は不明)の役が滝田で、新珠三千代がその妻なのである。とにかくダメな男だった。その後何十年かにわたり、滝田裕介氏がテレビに出てくると、実母もそう思っている風がただよっていた。
  勤めてはじめて伊豆に行き、熱川の駅をみたときは、だから泣きそうになるくらい、なつかしかった。細腕繁盛記の舞台は伊豆熱川なのである。伊勢海老売ったり、伊豆の言葉で苦労したり(ふぎゃあにあも伊豆の言葉)、新珠先生はほんとにいじめられた。滝田先生はダメ男だからまだしも、赤木春恵については個人的にずっと恨みに思ったくらいだ。
  それでずいぶん伊豆方言をあびるように覚えたのだが、富士先生がまさに伊豆の出身だということを今日はじめて知って、思わず深い感慨にふけることになった。
  静岡出身なのは知っていたが、伊豆だったのかあ。道理でいかにも憎々しげで、迫真のいじめだった。そうだったのか。伊豆出身者の言葉だったのか。
  富士先生はその後、石立鉄男ドラマの常連として、やはり厭味なオールドミス教師などで我輩と長いつきあいになるのだが、思えば、遠い遠い昔のはなしである。
  富士先生は実は顔立ちの整った美人である。美人でないと、厭味なオールドミス役はつとまらない。度の強い眼鏡がにあうということ自体、美人の証拠である。また、知らない人には、新珠先生は正統派の宝塚出身者である。