panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

中国化の与那覇潤、鬱病だったのか

 
  久しぶりに中国化論について人に話す必要があって、与那覇潤(39歳)の新しい本があるかみていると、この本があり、昨日注文した。今日届いて半分以上読んだが、うーん、双極性障害(いわゆる躁鬱病)だったことを初めて知る。のみならず、愛知県立大も退職していた。それほど重症の躁鬱からようやく本を書けるところまで回復したのであった。
  それにしてもこのツクフ出身の大秀才にとっては、大学が知性のかけらもないところであったことが読んでいくとわかる。そうではないと慎重に留保しているが、やはり大学という場所の問題が与那覇先生の「転落」(ウェーバー鬱病について妻マリアンネが使った言葉)に深く関係していることは明らかである。もっと広く平成時代の知性の崩壊という問題に彼はつなげているが。
  それにしても入院や病気のことは詳細に論じられるが、家庭のことは出てこない。独身だったのだかろうか。やはり場所だけでなく、結婚することも平成の時代に平静であるためには必要なことなのだということが、何となく、わかる、と思う。