panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

怪獣国家が発見できない


  相変わらず怪獣国家が発見できない。もしかしてギアーツの劇場国家論の最後の章に出てくる大怪獣国家のことなのだろうか。ホッブズ的自然状態の対極に怪獣国家という状態が現出するということなので、国家が過剰にプレゼンスを現し機能不全状態、痙攣状態になるということなのであるが、もしかしてこの入江本の最後のところで出てくるのがこの言葉の初出なのだろうか。うーん。
  同じ本をもう一度読むのは思った以上につまらない。とくに一回しっかり読んだものを再読しても、イライラするだけで、たまらず読みとばしてしまう。そういうところに怪獣国家は隠れていたのか。まったく。
  ともあれ明日からしばらくおやすみである。北海道までこの本をもっていくかどうかを検討中。北海道では読まないが、秋田では読むかもしれないので。
  トロブリアンド諸島のような太平洋群島ネットワーク、バリやマラッカのようなヌガラ(港市国家)とその内陸版マンダラ国家、最後に典型的には中国のようなプラ国家(平原国家)という3つの国家類型を太平洋世界に読み抜く文明史家のこの本の評価はどうも高くないようだが、こういう議論は他にはなく、しかも東南アジアの国家のような、これまで相手にされてこなかった国家類型を、ヨーロッパや中国のようなプラ国家という標準的な国家だと従来考えられてきたものを相対化する一つの視点としているという意味ではオリジナルな議論ではないかと思うのだが。
  朝7時。