panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

エクスプレス・チェンマイ------第5弾になってしまった

  只今、現地時間午後3時。昨日、マハーチャイの駅舎で吐きそうになりながら列車を待っていたのからみると天国。異臭にはさすがにまいった。中国系の海産物の街なのである。判断力も鈍り、BTSで逆方向へ行ってしまった。やや疲れもとれたが、必殺の・・・のところのパソコンは死んだままだ。如何ともしがたい。 
  朝8時45分にチェンマイ駅を出発する特急(?なのか)以外に、バンコク以北の田園を眺めるに適当な時間のものはない。ホテルから2度目のトゥクトゥクに乗って駆け付ける。横の刺青をしたファランの女は空いた席に移る。自己中心的な顔をして一切挨拶なしだ。タイまで来て何してるのか。自分を変えなさい。って我輩は面と向かって云ったわけではない。安全地帯で云ってるだけである。怖いでしょ。大きなお世話だし。でもなああ。
  嫌に頻繁に途中駅に止まる。エクスプレスは急行か。オリエント急行ともいうし。でもこれが一番早いのだが。ランプーンとランパーンが違う駅だというのを確認。文献・岡本和之先生『タイ鉄道旅行』(前回写真掲載)には、小魚をプラーワーンと聞いてクジラかと仰天したら、あとで甘い魚だと知るエピソードが出てくる。日本語では同じ表記が違うものなのだからタイ語は奥が深い。音楽として聴くタイ語はいうまでもなく中国語に似ているが、何だかポルトガル語にも聞える。タイ人にボッサ・ノーヴァを歌わせる会というのを思いついた。
  そのナコン・ランパーンから乗ってきた元気な73歳の女性が、今回の主役である。って主役とか脇役とかあったのか。私の斜め右前に古い友達(脇役)が乗っていたらしく、来た早々から大騒ぎ。自分より背の低い若い女性(脇役)をつかまえて荷物を網棚にあげさせ、あまつさえ、そのあげた若い女から手を合わせて最上級のお礼をされという、礼節大国タイの老人特権をフル活用している。騒々しいので気づかれないように何時間も座っていたのだが、いかんせん我輩(準主役)は彼女のすぐ前の席。彼女の魔の手が忍び寄るのは時間の問題であった。写真をとっていたので目立ち、タイ人には単調に見える風景に釘づけだったから、早晩彼女の関心を引くはずだったのだ。
  そのときが来た。座席の背越しに、彼女にぐいと左の肩をつかまれ、次の駅は○○だと教えてもらった(席は二人掛けの一方方向)。が、タイ語は難しい。何度も聞き返す。プなのかトゥなのか、もしかしてスなのか。懸命に追いすがる私。あ、簡単に片づければよかったのか。それから4時間以上、濃厚でちぐはぐな会話は続いた。しまいに、あまりの意思不疎通に周囲の関係者(脇役)も参加して、翻訳が入り、やりとりはバンコク・フアランポーン駅までとぎれることはなかった。その結果、写真が後半極端に少ない。話に夢中だったからだ。あっちが、、、。でもはじめてこれほどタイ人と話したこんだので、こっちもとてもうれしかった。
  その英語の老教師は名前をスパポン・ガートンという。58歳で結婚し、カトリック信者であった。子供なし。これからバンコクの友人(脇役)とマレーシア旅行だという。気さくで物おじせず、スパコン並みの大人である。スパポンだからね。ふふふ。両親は南部中国からの移民。生まれはタイ。でも漢字は読めない。9時20分と書いても彼女は理解できなかった。二世の段階でもう読めないのか。聞いたり話せるのは勿論だが、怪しい。写真もとったが、ブログ用のではないので掲載できない。残念だ。彼女はいい教師だったろう。親身で積極的、明るくて何だか深い。退職までバンコクの学校で教えていた。しかしもう中国語はできない。両親は残念だったろう。
  でも帰って考えた。もしスパポンさんが中国にいて、運よく大学に行っていたら、20代で文革に遭遇である。あの飾らない率直な性格で英語教師。だとすれば、中国にいれば、ただではすまなかったのではないか。結局、タイで暮らし、中国語が読めなくたって両親は幸せだっただろう。あの理不尽極まりない狂った社会の下敷きにならなかったのだから。
  でも英語教師なのに英語に弱い。マレーシアはリゾートで行くのかと聞いても、リゾートが分からない。フアランポーン駅に着いて、見るとその友人が迎えに来ていた。友人は、背の低い敬虔そうなシスターだった。白い頭巾をかぶり、走ってきた。そのとき、鈍いことでは人後に落ちない我輩も、スパポンさんもまた、真面目で敬虔な人生を送ってきた人なのだ、ということに改めて気づかされた。58で結婚するまで、同じようにキリスト教系の学校で敬虔に仕事をやってきたのだろう。つまりリゾートなんて無縁な人生だったのだ。、、、合掌、そして、再来。
  なおチェンマイは今回でおしまい。写真はチェンマイ駅。夜通しでファランがやってくる。気持ち悪い感じもする。御他言無用。って誰に?。なぜパンダが?。次の写真の一番後ろの中国系にみえた女性が友人。そして夜のフアランポーン。風情があるが、ブログ用の写真ではいつもぶれる(入れ替えます)。



  とうとう我輩、聞いて画像縮小に成功。長い道のりだった。聞けばいいのかあ。主役と脇役である。でも小さい。?。直ってる。