panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

音質がよくなる


  ブルームの『アメリカンマインドの終焉』というベストセラーを改めて拾い読みしていて解説本をさがしたら、下の山田某の本がみつかって、あまりのアホらしい題名に危惧を覚えつつも読んでみたら、こんなおもしろい本はめったにないというくらいおもしろい。ただし少し感情的な文章なので、改めてジェンダーの問題に気づいた。
  結局、この本からは、このベストセラーを書いたアラン・ブルームという人物と、もう一人その伝記的暴露を行ったソール・ベロー(ノーベル賞作家)のとてつもない愚劣な人柄がわかる。暴露を行ったベローも相当ひどい。5度の結婚などはまだよいほうである。
  ブルームはこの本で巨万の富と名声をえたのだが(それまでは公共的には無名だった)、その結果ひどい俗物的な側面が随所に浮上した。昔の農協の外国旅行みたいなもんなのだが。もともと同性愛者でシカゴ大学では知られていたようだが、それが右翼のアメリカ知識人にはショックだったというが、それはもう今ではどうでもよくて、人柄が徹底的に下卑ている。それが激しくショッキングだ。
  というのもブルームは価値相対主義で崩れ去りつつあるアメリカの大学と大学教育をギリシア以来の人文主義的価値観で建て直す教養人の代表選手だと思っていたからである。この本をまた拾い読みしたのも、どうしたら大学生に本を読ませたらいいかのヒントでもあるかということであったわけで。そもそも本なんか見向きもしない若人のほうがこの政治的な振る舞いの激しい俗物より百倍もましだと思える。
  ほんとに人さまにはあんなに高踏的なことを云っといて。やはりそういう連中の通例だが、本人は俗物以下なんだということを痛切に理解した。うーん。悲しいかぎりである。

  あ、今日はスピーカースタンドを買ったら格段に音がよくなったという話とイシダテテツオの話をするつもりだったわけで、まったく別のことを書いた。
  この文脈ではもう一枚写真を追加しておくか。