panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

ネメシス(ジョー・ネスボ著)下巻、買うべきか


  ノルウェーの首都オスロを舞台にしたこの小説の上巻をようやく読了した。まったく主人公に魅力がない。これはたまに北欧ミステリーにはあることで、超超個人主義の国柄が関係しているかと思う。自己中心的すぎて、ほとんど感情移入できない刑事が主人公であることがある。だから小説中でも彼は孤独で家族からも孤立している。というか大半離婚している。
  この小説もそうで、ノルウェーEUに入っていない先進国で、すばらしさの世界比較だといつも上位だ。フィンランドのようなアルコール依存症の国だって上位というか一位のこともある。翻っていえば、日本で住んでみたい第一位か二位は函館である。はっきりいって、どうしようもなくランキングというのは不可解である。
  ということで下巻をあえて注文して買うか迷っている。ようやく筋が動きだしてきたのだが。それにしてもこの小説から想像するに、オスロでは頻々と銀行強盗が起きているらしい。しかもそれが特定の人物によって計画されたものということがあるらしい。でなければこの小説が成立するはずもない。でもそうなの?日本にいてはまったく想像不能である。
  ただ次の文章だけが笑えた。ご同慶の至りである。「昼の12時で、警察本部の職員食堂は混んでいた。ハリー(主人公)は歯を食いしばって入っていった。同僚を嫌うのは主義としてではなく、生理的なもので、その傾向は年月を経るにつれてひどくなっていった。『よくある妄想だよ』と、アウネは言っていた。『私も自分がそうだと感じる。心理学者全員が私をつけ狙っていると自分では思っているんだが、実際には、たぶんせいぜいその半分だな』」341頁。