panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

三つ目はニコレ−−−−−−なにこれ?ではない。


  一日三つ書くのはしんどくはないが、意欲が続かない。ともあれ今日の最後はまたオーレル・ニコレの話である。
  実は最近デノンの日本発売のニコレだのランパルだのをベッドサイドに集めてしつこく聴いている。世界のCDを集めつくして、結局原点回帰でもあるが、録音も演奏もかなりこのデノンのはよくて、PCM録音が始まったときのあたりは我輩もうら若き学生であって、パイヤールのバッハ・音楽のささげものなんかで宣伝されていたのを覚えている(この録音が第一号だったような印象だが)。
  それで改めて感心して多数聴いているうち、ニコレがリヒターと録音したバッハのフルートソナタが二つあって、アルヒーフので聴いたと思うのだが、もう一つのテレフンケンの方はどうなっているのかと思い、どれがテレフンケンのなのかネットで調べるのは難儀だったが、ようやく入手して聴いてみた。テレフンケンは63年、アルヒーフは69年録音。
  感想。テレフンケンのは駄作とはいえないだろうが、リヒターのチェンバロがあまりに汚い音(モダンチェンバロなのだろう)で、テンポものろく、落胆した。3曲入っているが、後にいくにしたがってよくなるとはいえ、曲想が重いし音が割れているような感じで、びっくりする。ということはなく、初期のリヒターはカンタータでも重苦しいし、オルガンももっさりしているのだ。
  二度目の録音になって、ということはアルヒーフに移行してからぐんとよくなる。というべきなのではないか。はじめからリヒターがよかったわけではない。どうもその辺があまり指摘されないが、ライプチヒからミュンヘンに移ってきた(亡命?)あたりは伝統的なバッハのスタイルであったということではないかと思う。
  劇的で緊張感みなぎるリヒターというのは後年、西側世界との接触で生まれた様式だと思うのだが。
  ニコレを聴いて、リヒターについてかいても仕方ないが。写真はテレフンケン盤のもの。アルヒーフ盤は簡単に手に入る。デノンの藤原真理とクリスチアーヌ・ジャコテのがむしろ一枚ものだが、アルヒーフより華麗な印象である。ニコレも尺八的音色だとずっと思っていたが、尺八よりは華やかである。結構なのではなかろうか。・・・日本人スタッフの録音技術ってびっくりするくらいなレベルだと思うこの頃である。