panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

仲道郁代のモーツァルト・ピアノソナタ全集


  一カ月遅れのレコード芸術を読んでいて、仲道郁代が全集を出しているのに気づいた。ソニーから15000円以上する。うーん。まったくファンでないが、付録のCDを聴くかぎり結構いいように聴こえる。ちょうどピレシュの二度目のモツ・ソナ全集を寝際に聴いているところで、仲道郁代先生のほうが考証も行き届いており(何といっても彼女は外見に似ず学者肌だ)、面白そうなのだが、いかんせん高い。6枚だから一枚2500円以上である。これはいまの相場では相当なものなので。
  なお第三京浜ショパン週間はとうに終わっているが、簡単な印象をいうと、アシュケナージはもともと音が悪いのかもしれない。一見美音で微温的というのが彼の印象だが、ハガネの響きが強くて音に混濁感があるように感じた。バッハの最近の平均律についても老人だから指が動くか心配して聴きだしたところ、抜群の運指は健在ではあったが、音が悪いように思う、ということを前に書いたはずだが、ショパンの演奏もそれに近いということに意外の感がある。彼のショパン全集はもっているわけだが。
  ホロヴィッツの音は、低音部分が豪気なハガネの強打音で響くので、圧倒的な印象を与えるわけであるが、音の基本は非常にまろやかないい音なのである。これが何といってもピアノ演奏・技術の前提ではないか。そういう音を出せた上での打楽器ピアノのハガネ音なのではないか。その意味ではウゴルスキィもアシュケナージもガサガサである。
  ポロネーズもただ弾いているだけのハラシェビッチだと全然面白みがないので、帰宅してアラウのを探したら、彼はポロネーズを弾いていないのではないか。アラウのショパンの全集みたいのには入っておらず、呆然。
  バラードとスケルツォも大体違う人で聴いたが、もうミケランジェリは聴く必要はないと判断した。残るのは、やはり、アルゲリッチではないか。というのが全体の講評である。えへん。・・・ま、一つのご参考に。