panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

1708年バルセロナ、カール6世の婚礼の祝典歌劇


  まったく過激ではない歌劇。カール6世は、スペイン継承戦争で当時ウィーンからバルセロナにいた。スペインのハプスブルクの血筋が途絶えて、フランスが継承するか、オーストリーハプスブルク家から継ぐかの渦中にあった。大体近世ヨーロッパの戦いは勢力均衡をめざしており、フランスとオーストリーの間の駆け引きにイギリスが加わるということなのであるが。
  結局、カール6世はオーストリーの方を継ぐことになり、そうなると200年前のカール5世のように大ヨーロッパ帝国になるおそれがあるので、イギリスその他はフランスとの併合のないことを条件にブルボン王家にスペインを譲るのである。ハプスブルク最大の君主、神政ローマ皇帝カール5世のまさにご当地であったスペインが、かくして、フランスの血に入れ代わり、そして今にいたるわけである。現スペイン王ブルボン家である。
  で、その祝典歌劇である。アントニオ・カルダーラは劇性はないが、上品な作品が多い。昨夜から今朝5時に起きて2枚を何度か聞き直した。梅雨を振り払う名品である。原題は「大いなる名声」。