panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

テレビで見るクラシック

  タイのテレビが面白くないことは書いた。言葉が分からないだけではない。騒々しさや厚かましさが下品といっていいレベルで炸裂しているので、どうしてもチャンネルは日本語放送に回してしまう。勉強のためにタイ・チャンネルに合わせようとするのだが、瞬時にダメだと観念してしまうのである。イライラするし、嫌いになる。
  対して、ヴェトナムのテレビを今回よく見たが、明らかに、上だと認めるしかない。落ち着いていて、ニュース系が多い。世界の情報が次々紹介される。日本の次はドイツの話題だし、ウィーンの社交シーズンが始まったことも知った。スポーツも満遍なくとりあげられている。つまり視聴可能なのだ。番組の初めからどうしようもないタイの腹立たしさはない。バラエティよりドラマやニュースが多いからかかもしれない。女性アナウンサーの端正な話し方は、同じく社会主義と云っている北朝鮮の対極である。主にアオザイ------アオザイは長い服という意味で青いわけではないからね------を来た眼鏡をかけた美人が、声を張り上げることなく、しゃべっている。一方、タイでは本を読まないんだから、眼鏡美人アナウンサーなんているはずもない。目が悪くてもコンタクトで出てくるだろうし。
  今回、初めて、比較的長めのクラシックの一曲をハノイのテレビで聴いた。バンコクでは日本語放送で、日本ではニュースの後でやる5分ほどの名曲・名所番組があるが、これまで聴きもしなかった通俗的な曲でも、聴くようになっていた。飢えているのである。でも何故か音楽がしっくり入ってこない。タイとクラシックは合わないのだ。ロンドンと演歌が合わないように。
  ところが、おそらく、ハノイ遷都1000年祭の一環なのか、テレビでは、しきりにヴェトナム人の若い人たちの弾くショパンピアノ曲が流れるのである。途中からだが、協奏曲2番の後半は全部聴いた。演者は青年だった。中学生くらいの女の子は小品を弾いていた。
  ハノイは、バカみたく我輩が帰った1日から祭が始まり、10日まで続く。1000年祭だから次の2000年祭には行ってみたい、なんて今はこっちで云ってるわけだが、とくに惜しいわけでもない。庶民の生活は祭でないほうがわかる。だからからなのか、ともあれ、ハノイではしばしば音楽番組に遭遇した。私がバンコクでテレビでクラシックを見たのは深夜の一回きりである。
  思えば、ヴェトナムはショパンコンクールの優勝者を出している国である。ダン・タイソンだっけかなあ。アメリカのボクシング選手と間違えてるかな。日本に帰ったらよく聴いてみよう。古楽器ピアノで弾くショパンのシリーズで、今年前半話題になったはず。日本からは優勝者はまだ出ていない。
  あ、でも、ヴェトナムの一人二役ならぬ、一人全部役のテレビ吹き替えは、どうしたもんだろうね。
  青いアオザイもある。活発な活動にアオザイはいない。青いアオザイって昔なら歌謡曲になりそうじゃないの。青いアオニサイというのは重語ですか。