panachoの日記

辺境アジアからバロックオペラまで

ヘンデル開眼

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 もうブログを忘れるようになっていて、特に書くことはないのに思い出して、書こうと思ったが、書くことはないのだから書きにくい。

 数日前、もうすっかりモツ君以降のヨーロッパ音楽に興味を失い、退屈さえ覚えるのだが、ヘンデルアルチーナに並ぶ傑作(と云われる)「エジプトのシーザー」を聴いていて、ちょうど1時間半くらいのところで、つまりCDでは2枚目の最初に近い部分で、クレオパトラとシーザーが最初に出会うところではないかと思うが、その掛け合いのアリアを聴き、衝撃を受ける。

 ただしこれはアラン・カーチス指揮の依然5000円ほどする演奏であり、YouTubeでは聴ける。というかルネ・ヤーコプスの古い定番のでこれまで聴いていたのでわからなかったのである。一度こうして神髄のようなものに接すると、すべてがそのように頭のなかで響くことになって、ヘンデルも理解できるのではないかと期待している。

 たまたまこのオペラのDVDがあり(バロックオペラの集成のようなものの一枚)、その部分を見てみると、クレオパトラがシーザーを誘惑する、見ているだけで吸い込まれるような場面、世界史的一場面である。まことに結構結構。

 このアリアは知ってはいたが、こういう場面の音楽だとは知らなかった。やはり実見する必要があるなあと思うが、劇場に足を運ぶ勤勉さはない。だからこうしてヘンデル理解も遅れたが、しかしそれにもまして、まったく無名な当時の作曲家たちの作品には打ちのめされるような圧倒的な音楽が少なくない。そういうのを、つまり世界初録音の音楽をこれからも延々と探し聴き、もうすっかり愛想のつきた近代クラシック音楽に代わる新しい近世クラシック音楽として愛聴していくつもりなんであるね。